Yukiko Yanagida's blog

柳田由紀子(やなぎだゆきこ)=むかし新潮社の編集者、いまノンフィクション作家、在ロサンゼルス。『宿無し弘文ースティーブ・ジョブズの禅僧』(集英社文庫)で第69回日本エッセイストクラブ賞。「文藝春秋・電子版」にて、伝記「誰も知らないジャニー喜多川」連載開始。米国人の夫と二人暮らし。家事もけっこうまじめにやってます。

家人の大好物は、「愛知屋」のメンチカツ

 私の夫は、アイルランド系アメリカ人で、立石には1年ほど住んだことがあります。彼は、天ぷらも焼き鳥もサバの味噌煮もタクワンも好物なのですが、なんといっても大好きなのが、立石駅前にある精肉店「愛知屋」メンチカツ立石に暮らしていた頃は、学校帰りに毎日愛知屋に寄り、メンチカツを買っていたそうです。
愛知屋
 今、家人は日本を訪れる度、成田空港から立石駅に着いたその足で、南口の愛知屋を目指し、メンチカツ(1個=130円)を購入。その夜のビールのおつまみにするのが習慣になっています。メンチが酒の肴というあたり、やはりアメリカ人、こってり好みです。
愛知屋
 愛知屋のファンは、無論、彼だけではありません。時分時ともなれば、店の前には長い行列ができます。メンチの他に、コロッケ、ハムカツ、レバカツ、アジフライ、イカフライなどがあり、冬には、これにカキフライも加わります。
愛知屋
 実をいうと、私の実家はかつて精肉店を営んでいました。つまり、私は元肉屋の娘です。その元肉屋の娘が、愛知屋さんの牛肉を見て、ほれぼれすることがあります。100グラム800円や900円の牛肉は、庶民の街、立石ではなかなか売りづらいのですが、愛知屋さんは、いつもがんばってそういう高級な牛肉をケースに並べています。また、牛肉としてはもっとも安い牛コマ(牛肉のコマ切れ肉)も、愛知屋さんのものは大変質が高い。すき焼きにしても充分いけるほどの品質です。
愛知屋
 思うに、愛知屋メンチカツがおいしいのは、こうした牛肉が入っているからではないでしょうか? たとえば、100グラム800円や900円の牛肉だって、売れ残ってしまえば最終的にはメンチになる。高級牛が入る割合は、日によってもちろん異なると思いますが、とにかくそんな事情が、愛知屋メンチを他店の追随を許さないものにしているのだと思います。
 また、早朝に立石駅に向かうと、愛知屋から、タマネギを調理しているなんともいえない良い匂いが漂ってきます。これは、朝早くから丹念に仕込みをしている証拠。手抜きをしない執念のようなものが伝わってきます。  夫は、立石からアメリカに帰る際、必ず愛知屋メンチカツを20個ほど購入し、アメリカまで持ち帰ります。また、私の実家の者がアメリカに来る際にも、「メンチカツ、オミヤゲ、クダサイ」と頼みます。彼は、それらのメンチを冷凍庫に保管し、次回メンチカツをゲットできるまでの日にちを緻密に計算して、少しずつ大事に、大事に食べます。  そんなわけで、アメリカの我が家の冷凍庫には、今日も、丁寧にアルミホイルにくるまれた愛知屋のメンチカツが鎮座しているのでした。
□愛知屋
住所:〒124-0013 東京都葛飾区立石1-19-4
電話:03-3691-1259
営業:8:00~20:30。揚げ物は10:30~。水曜定休(火曜に休むことも)
揚げ物リスト:メンチカツ¥130、コロッケ¥80、ハムカツ¥80
レバカツ¥100、アジフライ¥130、イカフライ¥100、豚カツ¥250
ロースカツ¥300、ヒレカツ¥350、カキフライ(冬期のみ)