ひと言でいえば、「
栄寿司は、極めて質の高い
"立ち食い寿司屋"」です。世の中に、「高くておいしい店」はたくさんありますが(たまに「高くてまずい店」もあり困ってしまいますが)、ここは「安くておいしい」お寿司屋さん。
「栄寿司」によれば、「元々は、昭和16年に向島(墨田区)の映画館「南柳館」の前に、先代が
栄寿司を開業。ところが戦災で全焼したため、終戦の年に
立石に移り、昭和33年、
立石仲見世に
立ち食い専門の『10円寿司』を開店」。
そうでした、そうでした。私が子どもの頃、この店は「10円寿司」と呼ばれていたのでした。あぁ、懐かしい。
「10円寿司」が、その看板を下ろしたのは昭和46年。物価高騰の煽りで、さすがに10円均一を維持できず、15円に。その後も、徐々に値を上げざるをえなくなり、最終的に、品物により1貫100円、200円、300円という現在のスタイルに落ち着きました。
実は、子どもの頃、
「栄寿司」の印象ってあまり芳しくなかったんです。ご飯の上にのっているお刺身が、どうにも小さすぎた。私は、昭和38年生まれですから、記憶にある10円寿司は終焉間際のものだったのでしょう。豪快に食材を使うことができなくなっていた時期だったんだと思います。
だから、その後、長いこと
「栄寿司」には行ってなかったのです。それが、15年くらい前のある日、私、寝坊をしまして、慌てて駅へと急いだのだけど、お腹がすいてたまらない。で、あまり期待もせずに
「栄寿司」に飛び込んだのです。ところが、予想に反して、これがたいそうおいしくて、安くて、食材もドーンと大きくて。以来、通い続けているというわけです。
「栄寿司」の場所は、
立石仲見世商店街内。駅から行くと、
仲見世には2つの入口がありますが、
「栄寿司」は西の入口の一軒目、角です。店内はカウンターのみで、キャパは10人くらいでしょうか。以前は、「基本、ひと注文で4貫。2貫しかいらない人は言ってね」といった注意書きが貼られていたものですが、今は、ひと注文=2貫制です。
貝フェチの私は、この店のミル貝やホッキ貝(写真上)、煮はまぐり、トコブシが大好物です(すべて1貫200円)。トコブシや煮はまぐりは、最近は、他の店ではあまり出していないメニューですよね。江戸前の名残りでしょう。
また、
「栄寿司」の鯛(100円)は、うれしいことに皮がついています(写真上から2番目)。さらに、春にはサヨリ(年によって100円か200円/写真上から3番目)、夏にはハモ(200円)、冬にはアン肝(200円)やカキ(年によって100円か200円)など、季節の食材も登場します。他にお勧めは、あら汁(200円)と塩辛でしょうか。塩辛は塩辛巻きがありますが、塩辛のみを持ち帰ることもできます(300円、ただし最近は売り切れ多し)。
この春、1年ぶりに
「栄寿司」に行ったら、職人さんが2名も増えていて驚きました。昔から繁盛していた店ですが、今では週末になると店の前に長い行列が出来ます。
□「栄寿司」
住所:〒124-0012 東京都葛飾区立石1-18-5
電話:03-3692-7918
営業:12:00~20:00。木曜定休
メニュー:エビ、鯛、鮪、イカ他=¥100
中トロ、ミル貝、トコブシ他=¥200
アワビ、大トロ、ウニ=¥300
エビスビール(小瓶)=¥350
追記:
「栄寿司」も「ミツワ」同様、いよいよ繁盛しています。店の方の話では、土日祭日は、夕方4時頃には品切れになってしまうとか。
それほどの盛況ではありますが、この店もミツワと同じくお店の人々がとても親切。うれしいことです。
なお、私は、栄寿司の持ち帰り塩辛(300円)を楽しみにしているひとりですが、「最近は、店ではけちゃう(塩辛巻き)ので、持ち帰り用がなかなか確保できない」とのことでした。残念。
今回の再訪で「ほほう!」と舌鼓を打ったのが、「鯛の昆布締め」でした。栄寿司の鯛は、そもそもありがたいことに皮付きなのですが、昆布締めにした皮はよりおいしかった。皮特有の生臭みが消えて、コリコリ感も増した感じでした。これが1貫、100円ですから、驚いてしまいます。ただし、鯛の昆布締め(平目の昆布締めも)は毎日あるわけではないようです。
2009年春