それで、『總持寺の歴史』(竹内道雄著、吉川弘文館)を読んだのですが、以下の文章がありハッとしました。
「長年にわたり被差別部落の方々に『差別戒名』を付与してきた」
「差別戒名」などというものが存在したこと自体を、私は知りませんでした‥‥。亡くなってまで、そんな陰惨な仕打ちなんて。
ちょっと調べたところ、wikipediaにも「差別戒名」のページがありました。
「被差別部落民が文字の読み書きが出来ない事に付け込んで、戒名に被差別部落民の墓だと分かる特定の文字や形式を用いることがあった」
具体的には、「革」「僕」「屠」の他、「禅畜門(男)」「屠士(女)」「革門」「僕男(女)」「鞁男(女)」「非男(女)」など、当時の日本人ならすぐにぴんとくる戒名を付けたようです。
さらに信じられないのは、「戦後には、寺の敷地内に侵入して、ある人物の先祖の戒名を探し出し、その人物の祖先の出自を調べる差別事件が問題となった」。
ゲスというのは、こういう行為を指すのではないか。ぐっと落ち込みますが、この日本の歴史を受け止めていくしかありません。

この日、私は總持寺の参禅会(坐禅の集まり)に。日時の都合で「英語坐禅コース」に参加しました。外国の方々向けのコースだから(日本人でもOK。ただし説明は英語)、短くて楽ちんかと思っていたらとんでもない! 約40分の坐禅+経行(歩く坐禅)約10分+再び30分くらいの坐禅と、みっちりでした。
總持寺には、横綱、大錦卯一郎のお墓も。相撲ファンとして慎んで手をあわせる。大錦は、角界から引退後(実際には廃業)、早稲田大学政経学部に入学した稀有な横綱。
(左)『日本の路地を旅する』(上原善広著、文春文庫)は、被差別部落についてよくわかる名作。大宅壮一ノンフィクション賞受賞。被差別部落を知りたい人は必読。(中)少々難解だけど總持寺の詳細がわかる『總持寺の歴史』(竹内道雄著、吉川弘文館)。(右)禅僧、乙川弘文とスティーブ・ジョブズの交流を描いた、米フォーブス社のコミックブック、『ゼン・オブ・スティーブ・ジョブズ』。僭越ながら私が翻訳しました。