
ここは、「ヤンパ洞窟蒸し湯」と呼ばれています。ヤンパは、ネイティブアメリカン語の「偉大な薬」の意。


「いい? 行くわよ!」
パスティさんが気合いを込めて長暖簾を開くと、ぐあ〜ん、物凄い勢いで熱気と蒸気が立ち込めました。全身から一気に汗が吹き出ます。彼女に付いて穴ぐらを辿って行ったら、突然、天井の高い空間が広がりました(冒頭の写真)。実に神秘的。まるで遺跡の中にいるようです。
「水を充分飲むのよ。時々、桶に水を入れ足をつけたり、頭からかぶったりして。1回あたりの入浴は10〜12分が限度。洞窟から出たり入ったりを繰り返すこと」
「この蒸気はどこから来るの?」
そう訊くと、パスティさんが懐中電灯で下の方を照らしました。薄明かりの中に、壁沿いを流れる細い湯川が浮かび、ほんのりと緑色の温泉がこんこんと湧いています。なんと美しい。見ているうちに、マザーネーチャーの力に思わず手を合わせました。日本の温泉場にも神棚が飾ってあったりしますが、温泉とは命の泉なんですね(蒸気で写真撮れず……)。
「洞窟内に浴槽を作ることもできるけど、私は、〈蒸し風呂〉というユテ族の伝統を守りたい。実際、今でも月に1度ユテ族がここに集まって儀式をするんですよ」(パスティさん)

温泉適応性は、冷え性、貧血、切り傷他です。歴史資料によると、この辺りは鉱山で栄えたので鉛中毒に悩む労働者が湯治したそう。「ハゲが治った」なる記述も(The Bancroft Manuscript, State Historical Society of Colorado)。ほんとかね?
湯上りはさすがに温泉効果、汗が止まらず、毛穴という毛穴から古くて汚いものが出て行く感じでした。しかも、マメに水を飲んだのでトイレも近く、自分がピュアに、すっからかんになっていくっていうか。ヤンパ洞窟蒸し湯を去る私の肌は、ぷるんぷるんのもっちもち。戸外には湯煙りがたなびいて、あぁ、ここに浴衣と下駄があれば。その上、射的場までとは言わないけれど。

ヤンパ洞窟蒸し湯(Yampah Spa)料金:入湯料(含タオル)$15.00個室温泉$38.00(45分)営業時間:聖夜他を除く毎日9:00am〜9:00pm住所:709E. South St. Glenwood Springs, CO 81601グレンウッド温泉駅より徒歩7分電話:970-945-0667photo/ Yampah Spa
グレンウッド温泉は、ソルトレイクシティとデンバーの中間地点。アムトラックの「カリフォルニア・ゼファー号」が1日1便発着。http://www.amtrak.com/home
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