2014年09月12日

世界の温泉:ドイツの名湯、「バーデン・バーデン」

 ヨーロッパにも名湯と呼ばれる温泉がたくさんあります(ついでに言うと、アメリカにも温泉はいっぱいあります)。ドイツも温泉王国のひとつで、その中でも名湯の誉れ高いのが、ドイツとフランスの国境沿いにある「バーデン・バーデン(Baden-Baden)」。

バーデン・バーデン

 独仏の国境を隔てているのは、南北に太く流れるライン川。川の西側がフランスで、ヴォージュ山脈が横たわっています。一方、東側はドイツで、そこには針葉樹林地帯、シュヴァルツヴァルト(Schwarzwald)、日本語に訳せば「黒い森」が広がります。
 バーデン・バーデンは、「黒い森」の北端にある温泉です。私は温泉が大好きで、日本だけでなく、外国の温泉にもつかってきましたが、バーデン・バーデンはそんな中でも「極上、花丸」。名湯と言われるだけあってさすがにお湯が良い。

 バーデン・バーデン観光局によれば、この街には12の源泉(最高68度)があり、それぞれ泉質や温度が異なるそうです。ただし、どこもナトリウムやカルシウム、塩化物が多く含まれている由。また、「12ある源泉の中でも重要なのが、『フリードリヒ浴場』『カラカラ浴場』『トリンクハレ』、この3つだ」とも観光局では説明していました。

バーデン・バーデン
(表をクリックすると拡大できます。)


 温泉場にとって泉質は命ですが、他に私が重要だと思うのが、「温泉街の雰囲気」と「共同湯(公共浴場)の良し悪し」です。バーデン・バーデンは、この点でも申し分なかった。

 まず、温泉街の雰囲気ですが、そもそもバーデン・バーデンの温泉史は、古代ローマ軍団が北上し舎営地を作ったことに始まります(日本では、温泉地というと落武者や修験者に端を欲するケースが多いのですが、ヨーロッパでは圧倒的にローマ人の影響が大きい。テルマエ・ザ・ローマ人、本当に温泉好きだったんですね(\(^o^)/)。
 その後、ローマ帝国の衰退とともに、バーデン・バーデンは長らく鄙びた田舎の温泉地になりました。

バーデン・バーデン


 しかし、19世紀前半、フランスからやって来たやり手のビジネスマンが、この地にカジノを開いたことで完全復活、隆盛期を迎えます。同時期、バーデン大公国の上級建築官、フリードリヒ・ヴァインブレンナー(1766年〜1826年)が、中世の街並みを残しつつ都市計画。現在のバーデン・バーデンの原型を作りました。
 ですから、バーデン・バーデンには、中世と19世紀の豪奢で重厚、優雅で陰影に満ちた建物が数多く残っているのです。その上、街自体が丘や川に囲まれているので、いかにも「いで湯」の街といった雰囲気です。

バーデン・バーデン
(地図をクリックすると拡大できます。)


 バーデン・バーデンの繁華街は、駅から車やバスで30分ほどの場所にあります。中心は、市場広場(Marktpltaz)。中心と言っても小さな広場ですが、すぐ北にある丘にはバーデン辺境伯の居城だった宮城(Neues Schloss)があり、広場自体にはシュティフト教会(Stiftskriche)が建っています。

バーデン・バーデン


 そして、この広場の階段をトントントンと下ったところに、1877年から続く豪奢な共同湯、「フリードリヒ浴場(Friedrichsbad)」と、ガラス張りの新日帰り温泉「カラカラ浴場(Caracalla-Therme)」があります。トントントンと階段を下る感じは、日本の伊香保温泉をちょっと彷彿させます。

バーデン・バーデン


 また、観光局の方が言及した「3つの大事な源泉のひとつ」、「トリンクハレ(Trinkhalle)」は、街の東を南北に流れるオース川沿いにある飲泉所です。

バーデン・バーデン


 バーデン・バーデンは、日本の名湯同様、文豪にも人気のあった温泉で、ここに長逗留した作家には、マーク・トゥエイン、トーマス・マン、ドストエフスキー、ツルゲーネフ、ゴーゴリ、アレクサンドル・デュマ・フィス、バルザック、ヴィクトル・ユゴーと枚挙にいとまがありません。この事実は、彼らが生きていた時代、すでにバーデン・バーデンが、ヨーロッパはおろか、ロシアやアメリカにもその名を馳せていたことを意味します。
 マーク・トェインは、『赤ゲット漫遊記』に、「バーデン・バーデンでリューマチが治った」と書いています。また、ギャンブル好きで知られるドストエフスキーは、新婚旅行だったにも関わらず、カジノですってんてんになったとか。

バーデン・バーデン


 バーデン・バーデンは、翻訳すると「湯の中の湯」とか、「バーデン(湯)国のバーデン(湯)市」となるようですが、その名に恥じないドイツ屈指、否、世界屈指の温泉といえるでしょう。

参考文献/『西洋温泉事情』(池内紀他、鹿島出版会)


 photo 6.JPG
*絶版ながら名著です。もちろんバーデン・バーデンも登場。




バーデン・バーデンの行き方。
フランクフルト駅からICEで約1時間20分。
その他の駅からは、カールスルーエ駅(ドイツ)経由。
カールスルーエ駅から約1時間40分。
バーデン・バーデン駅から温泉街まで約5キロ。
201番のバス(頻繁に発着)かタクシーでおよそ15分。









posted by 柳田由紀子 at 08:50| Comment(0) | 世界の温泉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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