“Steve loved Dr. Bronner’s All One soap.” (p. 110)
Dr. Bronner (エマニュエル・ブロナー/1908-1997)は、戦前にドイツからアメリカに移住した平和主義者。48年に、氏が製造、販売を開始した石鹸は、オリーブ油とヤシ油をベースに、美肌成分、ヘンプ油と保湿成分、ホホバ油をブレンドした100%天然のオーガニック石鹸です。この石鹸、いささか高価だったのですが、60年代に入ると、ヒッピー&エコロジー・ムーブメントを背景に、一部の人々から圧倒的な支持を得たといいます。
ブレナンは著書の中でこう続けています。
「スティーブは、ドクター・ブロナーの石鹸をこの上なく賞賛していた。実用性、自然尊重、シンプルな審美性−−彼にとって、この石鹸はどれをとっても完璧な”商品”だった」
ジョブズがリード大学を中退した頃の回想ですから、72年か73年でしょうか。後年のアップル製品に通底する何かを感じますね。


しかし、本書には、「a bottle of Dr. Bronner’s All One Peppermint Soap」と書かれているので、ジョブズが愛したのは固形ではなく、下左の液体バージョン、そして、ペパーミントの香りだったと思われます。下右は、私が好きな固形バー&ユーカリです。
*クリスアン・ブレナン著、『The Bite of the Apple−A Memoir of My Life with Steve Jobs』(未・翻訳出版)と、ジョブズと禅僧、乙川弘文の交流を描いたコミックブック、『ゼン・オブ・スティーブ・ジョブズ』(拙訳/集英社インターナショナル)。