2014年01月17日

ロサンゼルスの新名物、雲丹酒盗(うにしゅとう)

月刊「新潮45」2008年10月号より転載/文・柳田由紀子

 貝類、乾き物、肉の内臓各種……かたい食べ物が大好きで、そんなものばかり食べていたら、とうとう奥歯にヒビが入り抜歯した。以来、3カ月余り、柔らかい食品を食べ続けている。「食物硬派」にとってはなんとも味気ない日々だが、この淋しい暮らしに光明を灯してくれているのが、ロサンゼルス、丸秀社産の「雲丹酒盗」だ。
ロサンゼルスのウニ2.jpg

 案外知られていないのだけれど、米国西海岸はウニの宝庫。特に、カリフォルニア州サンタバーバラ沖合の赤ウニは、大粒で甘みが強くコクもある。かつて築地では、これらのウニを「ジャンボ」と呼び蔑んだときくが、大きくておいしいことになんの不満があろう。
「雲丹酒盗」は、以上の大ウニを、殻から割ったその場で一夜漬け(昆布醤油、みりん、アルコール分をとばした日本酒)した珍味。瓶を開けると、原型そのまんまのウニがごろごろ入っている。これだけでも充分にうれしいが、その味ときたら、濃厚な生ウニのたっぷり感+旨味をぎゅーっと凝縮した出来映え。
ロサンゼルスのウニ1.jpg

 抜歯者である私は、3日に一度は、柔らかめに炊いた白米に「雲丹酒盗」をごっそりとのせて食べる。ペースト状の日本の練りウニなど、「雲丹酒盗」の敵ともいえぬ。それが、65グラムで8ドル=1千円弱。優秀である。
「安くてうまい」はそれもそのはずで、「雲丹酒盗」を作っているのは、全米や築地に高級ウニを届けている、「丸秀」なるロサンゼルスにあるウニの網元さん。最近、私は丸秀の工場を訪ねたのだけれど、工場には、その朝水揚げされたばかりのウニが所狭しとあり、しかも、そのウニの大きいこと! 中には、数の子や板チョコみたいのまであった。

「大きいけれど大味じゃない。うまいんだよ」
 と、創業社長の河村英夫氏。66年に渡米後、「もうウニばっか!」と語る氏によれば、「ウニは鮮度が勝負。だから冷凍ウニなんて話にならない。一番新鮮な状態で冷解凍できる食べ方を探した結果が、一夜漬けだった。日本じゃ、亜流な調理法ってバカにされちゃうかな? でもさ、うまいでしょ?」
 
 冗談みたいな話だけど、実は私、一昨日、歯医者から、もう一方の奥歯にもヒビが入っていると告げられた。今しばらく、「雲丹酒盗」のお世話になる日が続きそうだ。







「雲丹酒盗」は日本へも宅配している。詳細は下記。





posted by 柳田由紀子 at 11:47| Comment(0) | 過去の雑誌記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。