2013年12月24日

最近、感動した映画見ましたか:『みんなで一緒に暮らしたら』

「クロワッサン」(マガジンハウス)2012年 11月25日号より転載/文・柳田由紀子

人生の「第三幕」を生きるジェーン・フォンダの実像が重なる。

ジェーン・フォンダ.jpg

 やっぱりべらぼうに格好良かった、ジェーン・フォンダ
 昨年ロサンゼルスで見た芝居、『33の変奏曲』。フォンダの役は、病に冒され死に直面する音楽研究家と重い内容だったけれど、彼女の美貌と華やかさが舞台全体を引っ張った。あれで73歳? まるで化け物だ。
 フォンダは自伝『わが半生』(訳・石川順子/ソニーマガジンズ)にこう書くーー「一九九六年の、五十九歳を迎えたその日、私はふと考えた。自分は九十歳前後まで生きるのではないか。となれば、今から始まる一周はこの人生の第三幕の緞帳(どんちょう)を上げるものになるだろう」。


「第三幕」を生きるフォンダは、どうやら今、「死」を深く意識しているようだ。新作映画『みんなで一緒に暮らしたら』でも、死期の迫った元哲学教師役を演じる。ゴダールの『万事快調』以来40年ぶりのフランス映画(フォンダのフランス語見事です)で、これに関しては「死ぬ前にもう一本、フランス映画に出てみたかった」と発言している。

 物語の舞台はパリ郊外。40年来の友人である2組の夫婦とひとり暮らしの男性は、全員が70代でそれぞれが高齢者ならではの問題を抱えている。そこでいっそ共同生活を始めることになって……というのがストーリー。映画は、社会派でもなく悲劇でもなく、たくさんの笑いを交えつつ、老いるということ、その寂しさ、人生の愛おしさを洒落たトーンで語っていく。


「人生に備えてきたけど、最後の年がくるのを忘れていたわ」というフォンダの台詞が胸に響く。物語のラストを飾るフォンダからの心憎い贈り物、そして寂寥感漂うエンディング。
「墓場に後悔を持っていきたくない」と、最近しばしば語るフォンダは、この先どんな役を演じていくのだろう。そんな興味を沸々と湧かせた小品映画。

 来月12月21日、ジェーン・フォンダは75回目の誕生日を迎えるという。

 


column:柳田由紀子が薦める
ぜひ見てほしいジェーン・フォンダのほかの映画。


『バーバレラ』
最初の夫、ロジェ・ヴァディムが監督したSF映画(仏作品)。本作で一気に世界的セクシーアイコンに。冒頭、フォンダが無重力空間で全裸になっていくシーンだけでも見る価値あり。この人にもこんな時代があったのね。

『ジュリア』
劇作家、リリアン・ヘルマン役。30年代ヨーロッパ、ナチズムを背景に女の友情を描く。本作が77年、翌年に『帰郷』(2度目のアカデミー主演女優賞)、79年が『チャイナ・シンドローム』ーー女優としては、この頃が最も充実していたのでは。

『ウエディング宣言』
3番目の夫、テッド・ターナーと結婚後、映画界から遠ざかっていたが15年ぶりに復帰。ジェニファー・ロペス(息子の婚約者役)を向こうに回し、67歳のフォンダ(気の強いニュースキャスター役)が実に格好良い。コメディエンヌとしての能力も存分に発揮。









posted by 柳田由紀子 at 07:11| Comment(0) | 過去の雑誌記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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