セントルイスのシンボルは、なんと言っても
ゲートウエイ・アーチ。エーロ・サーリネン作、外壁がステンレス製の、モダニズム溢れる格好良い建造物です。では、なぜセントルイスにこんなものがあるかというと、話は1803年の「
ルイジアナ買収(Luoisuana Purchase)」に遡ります。これ、日本ではあまり馴染みのない出来事ですが、アメリカでは中高生の歴史教科書でゴチック太字扱いされるほど、とてつもなく大事。日本でいうと、「いい国作ろう鎌倉幕府」くらい大事です。
ルイジアナ買収とは、1803年にトーマス・ジェファーソン大統領がフランスのナポレオンから、当時フランス領だったミシシッピー川以西(現在の15州に当たる広大な土地)を購入したという歴史的事実を指します。ご存じのように、アメリカはイギリスの植民地という境遇から、独立戦争(1775年〜1783年)を経て建国しました。そのせいか、多く人が、建国時からずっとアメリカがあの広い大地すべてを領土にしていたと考えがちなのですが、そうではない。フランスやスペイン、メキシコの植民地がまだまだたくさんあったのです。
アメリカは西部開拓によって領地を拡大、今日の大国を築きましたが(遂には“西の島国”、日本とも戦いましたが)、その大転機となったのが
ルイジアナ買収でした。そして、その西部開拓の玄関口になったのがセントルイス(有名な「クラーク&ルイス太平洋探検隊」もセントルイスから出発)だったのです。そんな
セントルイスを記念して、1965年に完成したのが
ゲートウエイ・アーチです。
アーチは、ダウンタウンのジェファーソン・ナショナル・エクスパンション・メモリアル内に建つ。アーチの目の前には大河ミシシッピー川が流れる。メトロ、ラクリーズ・ランディング(Laclede’s Landings)駅下車すぐ。写真は駅のホームから撮影。
ダウンタウンでは、思わぬところからニョキっとアーチが顔を見せて、わかっていても興奮してしまう。フリーウエイ走行中にもニョキっ。なお、ゲートのてっぺん(192メートル)までトラムが運行。
アーチの地下は西部開拓博物館。開拓史最終章のコーナーに原爆写真の特大パネル。学芸員に趣旨を尋ねると、「アメリカの西部進出の到達点という意味」みたいなことを明るい表情で語られた……。ここは国立公園内ですから、アメリカという国がこのように解釈しているってことなんでしょうね……。
セントルイスの発祥は1764年。フランス植民地の毛皮交易所として作られた。アーチのそばにミシシッピー川に面したラクリーズ・ランディングがあり、レストランやバーが連なる。南北戦争以前はアメリカで一番大きな港だった。なお、ラクリーズ・ランディングの端にある
Lumiere Place Casino & Hotel のバッフェは充実、オススメ。朝食からあり。
アーチと同じジェファーソン・ナショナル・エクスパンション・メモリアル内に建つ旧裁判所(1845年〜)。南北戦争の引き金になった黒人夫妻「Dred & Harriet Scott裁判」(1846年〜)はここから始まった。
旧裁判所内部。博物館あり。ミシシッピー川を利用した海運事業、西部を目指す者への各種サービス事業、そして軍事基地と、東西南北から見てアメリカのほぼど真ん中にある
セントルイスが、かつていかに重要であり、それ故に繁栄したかがよく理解できる。
ヒルトン系列の
Hampton Inn St. Louis Downtown at the Gateway Arch、アーチビューの部屋からの眺め。日の出日の入り時間はとくに素晴らしかった。ビュールーム、ツイン、$109.00〜。
Gateway Arch
Jefferson National Expansion Memorial
11 North 4th Street,
St.Louis, MO 63102
phone: 314-655-1700
posted by 柳田由紀子 at 15:07|
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セントルイスと周辺
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