2013年11月12日

1904年セントルイス万博の日本村を訪ねて

 セントルイス万博は、アメリカがフランスからルイジアナ州一帯を買収してから100年を記念して開催されました。日本は、日露戦争(1904年〜05年)の渦中にもかかわらず、この万博に、国家の威信をかけて大規模な日本村を建設しました。
 先週、セントルイスにその足跡を訪ねたのでまとめておきます。

 セントルイス万国博覧会
 万博が開催された場所は、現在、フォレスト・パーク(メトロ、フォレスト・パーク駅下車、徒歩3分)があるところ。パーク内のミズーリ歴史博物館には、「万博コーナー(The 1904 World’s Fair)」があり、万博を知るには絶好。以下の写真は、主に歴博に展示されていたものです。

セントルイス万国博覧会
 万博の敷地は514万平方メートル。現在のフォレスト・パークは、ニューヨークのセントラルパークより広いが、この公園一帯が万博会場だった。「あまり巨大すぎて普通の体力では到底全部みることが不可能で失敗だったとされている」(『万国博の日本館』アルシーヴ社刊)( ̄ー ̄)。
 日本は、政府が日本村(地図右上、イスラエル館右)を、民間がthe Pike通りの娯楽街(地図手前中央付近)にフェア・ジャパンを作った。また、政府は、工芸館などテーマ館にも焼き物などを出典。

セントルイス万博
 明治政府が作った日本村には、寝殿造りの建物、金閣寺風の建物、台湾館、日本庭園、四阿、売店他が点在した。

セントルイス万博
 日本政府が作った金閣寺はこんな感じ。photo from "The Japanese Influence in America" by Clay Lancaster

セントルイス万博
 寝殿造りは、セントルイス万博閉会後、タカヂアスターゼの開発で知られる高峰譲吉(当時ニューヨーク在住)が入手、ニューヨーク州北部Merriewold Park, near Monticello) に移築し「松楓殿」と名付けた。photo from "The Japanese Influence in America" by Clay Lancaster

松楓殿
 建物は現在するが、ある宗教団体の迎賓館になっており非公開。私は、数年前に外観のみ見学したが、いささか不気味な空気が流れていた……。photo from "The Japanese Influence in America" by Clay Lancaster

セントルイス万国博覧会
 民間人のランカイ屋(博覧会プロデューサー)、櫛引弓人が作ったフェア・ジャパン内の芝居小屋。歌舞伎「土蜘蛛」を上演。和服姿の娘たちは、政府の日本村やフェア・ジャパンでお茶の給仕や踊りを担当したが、当時の絵葉書は「Geisha girls」と説明。アメリカにおける「日本=フジヤマ、ゲイシャ、ハラキリ」のイメージは、万博が嚆矢か。約20名の「Geisha girls」がセントルイス万博に参加。

セントルイス万国博覧会
 水を多様に用いた万博会場。ジュディ・ガーランド主演のミュージカル映画『Meet Me in St. Louis』(1944年)の時代背景は、セントルイス万博建設中から開催まで。最後に一家がおめかしして万博を訪れる場面がある。たいした映画じゃないけれど、万博シーンだけは見る価値あるかも(日本村は出てきません)。



セントルイス万国博覧会
 フェア・ジャパン内に建てられた日光陽明門を模した入場門。櫛引弓人は、絢爛豪華でややあざとい日本の表現が得意(というか、好き)だった。

パナマ万博
 ちなみに、櫛引弓人は後の「パナマ太平洋万博」(1915年)では、鎌倉大仏を飾ったこんな門がある民間ブースを作った。よく見ると「BEAUTIFUL JAPAN」の文字が。五木寛之先生のディズカバー・ジャパンより凄いかも\(^o^)/。写真=『人生は博覧会 日本ランカイ屋列伝』(橋爪紳也著、晶文社)より引用。

セントルイス万国博覧会
 フェア・ジャパン内のレストランが配ったバッジ。「日本陸海軍萬歳」ーー明治の日本って、こういう時代だったんですね。

セントルイス万国博覧会
 フォレスト・パークにセントルイス万博の建物は残っていない。「ワールドフェア・パビリオン」(写真奥の建物)と呼ばれる建物があるが、これは、万博閉会後の1909年に建てられたもの。歴史博物館も万博以降である。

セントルイス万国博覧会
 歴博に展示されていた写真。「中国館を建設中の中国人」の説明が記されていた。どう考えても、これは日本の大工さんなので学芸員にメモを残しました。訂正したかどうか、今後行かれる方、結果をお知らせいただけるとうれしいです。



*『万国博覧会の日本館』は日本の万博史がコンパクトにわかる好著。また、拙著『太平洋を渡った日本建築』に、19世紀末から20世紀初頭の万博日本館の話をたくさん書きました(ただし、セントルイス万博はちょっとだけ)。
 

*『人生は博覧会 日本ランカイ屋列伝』には櫛引弓人はじめ万博で活躍した人々(ランカイ屋)が登場。洋書ながら、Clay Lancasterの「Japanese Influence in America」はアメリカで日本文化を学ぶ者のバイブル。とっても、とってもおもしろい。
 



Missouri History Museum
Lindell and DeBaliviere in Forest Park, St. Louis, St. Louis, MO 63112
Phone: 314-746-4599










posted by 柳田由紀子 at 05:35| Comment(7) | セントルイスと周辺 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
歯根膜園のブログから飛んでまいりました。
色々と読み応えがあって凄いです!
拝読させて頂きます(*≧∀≦*)
Posted by アマモリ at 2013年11月13日 17:03
アマモリさま
コメントをありがとうございます。うれしかったです。
ところで、歯根膜炎を患っていらっしゃるんですか?
Posted by 柳田由紀子 at 2013年11月15日 00:59
今セントルイス日本語学校で社会を教えています。授業で使わせていただきます。
Posted by 河崎綾 at 2015年02月21日 17:46
河崎綾さま:コメントをありがとうございます。セントルイスにも日本語学校があるのですね。実は、昨年まで主人がセントルイスに単身赴任していたので、私もしばしばセントルイスに滞在しました。残念、ニアミス。日本語学校、お訪ねしたかったです。

Posted by 柳田由紀子 at 2015年02月23日 05:33
河崎綾さま:肝心なことを申し忘れました。授業で取り上げてくださるとのこと、光栄です。なにか質問があれば、なんなりとお問い合わせくださいませ。
Posted by 柳田由紀子 at 2015年02月23日 05:35
こんにちは m-_ -m
夢野 久作 の「人間腸詰」を、いろいろ調べながら再読していたら辿り着きました☆

「中国館を建設中の中国人」が主人公の大工さんに思えてなりません ^- ^;A
その大工さんは台湾館を建てたって設定なんですが..

本当にあったんだな〜.. ってうれしくなりました♪
Posted by ねこにゃん♪ at 2017年01月19日 12:41
わー、なんだか凄い! 夢野久作の『人間腸詰』は読んだことがないので、今度読んでみます。
Posted by 柳田由紀子 at 2017年01月20日 13:02
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