ベッドの寝心地は良かったけれど、予想した通り冷房の効き過ぎで夜中に何度か起きる。自宅から持参した小さな毛布をかけ足すだけではまだ寒くて、シャワールームから2枚ほどバスタオルを拝借。
朝日差し込む寝床。さて、そろそろ起きて食堂車に行きますか。寝台料には、朝、昼、晩と3食分の代金も含まれている。各寝台車両には、スチュワートがひとり付いていて至れり尽くせりのサービス。朝食の希望時間も、昨夜のうちに訊きに来てくれた。
食堂車にやって来ました。テーブルセッティングがいい感じ。メニューだって5種類もある。幼い頃、新幹線の食堂車に父とおめかしして乗ったことを思い出す。
アムトラックでは、テーブルに限りがあるので相席が普通。私を含めたこのテーブルの4人は、みんなひとり旅の模様。それにしても、前の男は、なぜ朝からこんなにめかし込んでいるのであろうか? その横の若い黒人のお兄ちゃんは、しゃべりっぱなし。私の隣の男はターバン巻いてて、不気味に無口。その上、アジア女(私)は、スクランブルエッグにお醤油かけてるし。妙なテーブル(後日、この写真を見た友人がひと言、「状況劇場……」と)。
目の前の「朝から縦じまスーツ」は、髭が邪魔なので、食べ物を口に運ぶ度に髭を持ち上げる。話に聞いたことはあるが、実際に見たのは初めて!
食堂車から個室に戻ると、朝刊あり。パーフェクト^_^。新聞の奥にいろいろとボタンがありますが、機械に弱い私はいじらなかったので、その機能に関してはわかりません。
ツーソン駅(アリゾナ州)に到着。小1時間停車。のんびりしてるね。
サンセット・リミテッド号、ひたすら荒野を走っております。寝不足だけど眠れない。車窓からの眺めが面白すぎる。サボテンや砦が時々現れます。
スチュワートが昼食の予約を取りに来てくれた。昼食の前に、2度目のシャワーを浴びに行こう。スチュワートに「ベッドを片付けて椅子席にしましょうか?」と訊かれたが、私はそのまま万年床の女を決め込んだ。
ニューメキシコ州、ローズバーグ駅付近。乗客に配布されるパンフレット(このパンフ、とても優秀。配られなかったらリクエストしてください。絶対に入手すべき)には、「戦中1500人の日系アメリカ人が収容された」と記されている。ヒラリバー収容所を指します。アムトラック、公正でえらい。
ローズバーグは、1927年に、リンドバーグの「スピリット・オブ・セントルイス」が着陸した地でもある。また、駅馬車時代の主要ルートで、アメリカン・エクスプレスやウエルスファーゴ銀行も創業期に支店を設けた。
さて、昼食を食べに食堂車に向かいましょう。
昼食もメニューがいっぱい。お昼の相席はひとり。ヒューストンにいる息子に会いに行くという、極めてまともなおじさん。刺激的だった朝食のテーブルが、今となっては懐かしい。
食堂車からの眺め。食べている間に、リオグランデ川を越えて(意外にしょぼかった)テキサス州入り。景色が荒々しくなってきた。ウエイトレスのおばさんが、「さあ、ここからテキサスよ。エバー、エバー、エバー、テキサス!(どこまで行ってもテキサスよ!)」と叫んだ。そう、テキサス州はとっても広いのだ。時計の針もテキサス時間に合わせよう(ロサンゼルスより2時間早い)。
サンセット・リミテッド号は、ロサンゼルスとニューオリンズを結ぶ。
→アメリカ鉄道旅行:ロサンゼルスからセントルイス 1日目