2013年10月03日

夜明けのセカンドストリート巻

 今、ホームページを整理しています。鮨ネタついでに、以前書いた近所のスシバーの話をこちらに移動しよう。
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「Sunrise on the Second Street」、日本語に訳せば「夜明けのセカンドストリート」。こう聞くと、ポップミュージックのタイトルみたいですが、実際は全然違います。これって、近所のスシバーのいちメニュー。私が住んでいるロングビーチで、もっともファッショナブルな界隈が「セカンドストリート」で、巻物名はこれに由来します。
スシスタジオ

「夜明けのセカンドストリート巻」を供するのは、タイ人が経営するスシバー「Sushi Studio」。この店は、お寿司を握る(巻く)人もみんなタイ人で、とても繁盛しています。繁盛に気をよくしたのか、 Sushi Studio、先頃、看板をバシッと一新しました。
スシスタジオ

 運ち?! 
 大いに首を傾げた私は、ご主人に「どういう意味ですか?」と訊きました。でも、返ってきたのは、「わかんない」という脱力の答え。
 最近、アメリカでは、「漢字=デザインとしてかっこいい」とウケていますから、タイのご主人もそのノリで適当に文字を選び、並べたのでしょう。そういえば、このあいだハリウッドで、漢字プリントのアロハを着たおじさんを目撃したので近づいてよくよく見ると、「鳥砂肝」と書いてありました……。

「夜明けのセカンドストリート巻」の中味は、唐辛子とマヨネーズで和えたエビ、アボカド、マグロ、トビコ。つまり、カリフォルニア・ロールもどきなのですが、そこに、ラー油とゴマ風味マヨネーズ、そして、みたらし団子のタレ風の甘辛いものが、べったりとかけられます。だから、盛りつけは華やかできれいなのですが、味覚的には、この「べったり」、日本人にはなかなかきついです。
スシスタジオ

 Sushi Studioには、他にも「モンキーロール」や「神風ロール」など不思議な巻物がいっぱい。その中で、私がいちばんグロだと思うのが「セクシーガール巻」です。巻物の中味が、エビの天ぷらとハラペーニョ(メキシコ唐辛子)なのは許容範囲としても、海苔の代わりに、薄く切ったマンゴが巻かれている。でも、このオレンジ色の巻物が、アメリカ人には大人気なのだから驚いてしまいます。
 驚いたといえば、彼らがこれらを本場のお寿司と思っていることで、
「ここのメニューは、日本のお寿司屋さんにはまずないですよ」
 と、カウンターでたまたま隣になったアメリカ人に言ったところ、今度は向こうがひっくり返ってびっくりしていました。

 どの国でも、外国のものが入って来ると、その国流にアレンジされるものです。日本のナポリタンなどは好例でしょう。すると、アメリカ流ってどんなの? ということになるのですが、簡単に言えば、Sushi Studioの巻物のように、味は「ハッキリ」、見た目は「ハデ好み」ってところでしょうか。「渋い」を粋とする日本文化とは、相当かけ離れている気がします。

「かいつまんで言えば……日米二つの文化をへだてる距離があまりにも大きいので、二者はほとんど正反対に近いと結論せざるを得ない」(異文化間コミュニケーションの権威、故ディーン・O・バーンランド教授の言葉。『日本人の表現構造』西山千、佐野雅子訳、サイマル出版会より)。
 渡米して早十年、私は日々、「バーンランド教授の言う通り」と膝を打ったり、「いやいやそうでもないよ」と感じながら過ごしています。





posted by 柳田由紀子 at 15:52| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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